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フランスのボルドー地方で造られるボルドーワイン。
ボルドーワインは世界一有名なワインで、世界一のブランドと品質を誇るため、別名「ワインの女王」と呼ばれています。
「ボルドーワインって、あの渋い赤ワインだよね?」
「有名だから飲んだことあるけど、普通の赤ワインだったような・・・」
もし、あなたがそんな印象をもっているなら・・・絶対に損をしています!
なぜなら、ボルドーワインが「ワインの女王」と呼ばれているのは、きちんとした理由があるからです。
その理由を知らずして、「ただ渋いだけ」や「ただ有名なだけ」と思ってしまっているのは、すごくもったいないですよ!
冒頭から興奮してしまい、すみません・・・!
最近、ボルドーワインの虜になっている、美味しいワイン編集部の広江です。
ボルドーワインがなぜこんなに有名なのか・・・。
その理由について、さくっと説明させてください!
理由のひとつ目は、その膨大な生産量です。
世界170か国で飲まれているボルドーワインの規模をわかりやすくするため、あえて日本と比較するなら・・・。
- ワインのブドウ畑の面積は東京都の半分以上
- 生産量は日本ワインの30倍以上
- 各ワイン生産者がもつブドウ畑の平均的な広さは、東京ドームの10倍
- そんな生産者が6,000人以上
とてつもない規模ですよね・・・!
ボルドーだけで、ものすごい規模のワイン造りが行われていることがイメージできると思います。
2つ目の理由は、ボルドーワインには2,000年近い、長い歴史があるから。
紀元前から続く歴史のなかでも、特にここ900年間のあいだは、山あり谷ありの激動の時代。
そんな時代を乗り超えて発展してきました。
今では、品質と伝統を保持するための「A.O.C.」という格付けの仕組みやブドウ栽培、醸造方法、そしてワインビジネスにいたるまで、ボルドーが世界中のワイン生産者のお手本になっているんです。
これらの理由から、ボルドーワインは世界一有名なワインと呼ばれるようになったのです。
ちなみに、ボルドーワインが「ワインの女王」と呼ばれている理由は、「ワインの王様」と呼ばれているブルゴーニュワインとの対比によるもの。
「ワインの女王」と聞くと、女性的な味わいを想像するかもしれませんが、実はボルドーワインの味わいはどっしりと重厚で飲み応えがある男性的な印象が強いです。
そして、赤ワインばかりのイメージがありますが、実は手頃な値段の美味しい白ワインもあるんです♪
こんなにも魅力的なボルドーワイン。
たくさん造られていて選び方に迷う人も多いと思います。
そこで、今回はボルドーワインの基礎知識や選び方を紹介します!
選び方を知れば、きっとあなたのお気に入りの1本が・・・いえ、1本と言わず何本も見つかるはず^^
今回も長い記事なので、先にオススメの3本を先にお見せしますね。
後半では各ワインをもっともっと詳しく紹介しています。
この記事で紹介している編集部厳選のワイン3選
編集部評価: 4.5
1万円台とは思えない卓越した深みがあり、生産量が少ないため希少価値もあるワイン。
編集部評価: 4.0
カシスやレーズンのような香り、フルーティーさと、しっかりとした渋みがあり、ほのかに樽感があるボルドーらしい一本。
編集部評価: 4.0
キャラメルのような甘い香りが印象的で、カシスや果実の凝縮感が複雑に絡み合い、渋みもしっかりあるワイン。
ボルドーワインが世界一有名である3つの理由
ボルドーワインとは、フランスのボルドー地方で造られるワインのこと。
冒頭でもお伝えした通り、世界一有名といっても過言ではありません。
フランスのブルゴーニュ地方で造られるブルゴーニュワインと双璧をなし、ブルゴーニュワインは「ワインの王様」と言われているのに対し、ボルドーワインは「ワインの女王」と言われています。
そんなボルドーワインが世界一といわれるまでになったのは、大きく3つの理由があります。
■ボルドーワインが世界一有名な理由
- 長い歴史
- ブドウ栽培に適する土地と気候
- 高い品質を保持するための工夫
それでは、順にみていきましょう。
【ボルドーが世界一有名な理由1】長い歴史
ボルドー地方でワインが造られ始めたのは、約2,000年前のローマ時代から。
こんなに大昔から、ボルドーでは美味しいワインが造られ、人々が飲んでいた、という記録が残っています。
さらに12世紀からはワインにまつわる激動の歴史がありますので、代表的な出来事をかいつまんでお話ししますね。
まず、ボルドーワインが発展する最初のキッカケとなったのは、1152年。
ボルドー周辺を治めるエレオノールという公女が、のちにイギリス国王ヘンリー2世となる男性と結婚したことです。
それによりボルドー周辺は一時イギリス領となり、ボルドーワインがイギリスに多く輸出されるようになりました。
これまでボルドーワインを味わったことがなかった当時のイギリス人は、ボルドーワインの美味しさにどんどん魅了されていきます。
その結果、輸出量がさらに増えて、貿易による富で、ワイン産業だけでなくボルドーの都市や港も発展していきました。
12世紀にイギリス領となった当時のボルドーワインは、薄い赤色だったのだ。
だから、当時のイギリスでは、ボルドーワインのことを「薄い赤色」という意味の「クラレット」と呼んでいたそうだ。
そして18世紀には、フランスの植民地やオランダ向けの貿易が栄えたことで、さらに莫大な富がボルドーに流れ込みました。
どれくらいかというと・・・、当時フランスで一番の近代都市になるほどの富です!
その富のおかげもあり、ボルドーのワイン産業はどんどん発達するのでした。
1855年のパリ万国博覧会では、多く生産されるボルドーワインの品質を世界にアピールするため、ナポレオン3世の命で正式な格付けがおこなれました。
ワインに格付けをすること自体が初めてのことなのに加えて、利害関係が関わるため、「どのシャトーが何級になるのか?」と大変な論争がありました。
ちなみに、このとき制定された格付けは、150年以上経つ現在でもほとんど変わっていないんですよ。
その後、フィロキセラというブドウの樹の病気の流行や、第一次・第二次世界大戦で、ボルドーワインは一時期壊滅的なダメージを受けたときもありました・・・。
ですが、ボルドーワインを愛する造り手や富豪たちが、情熱と巨額の富を注ぎ込んで立て直しを図ったのです!
その際に、いち早く取り入れられたのが、ステンレスタンクなどの近代的な醸造設備や収穫量をコントロールする仕組み。
こうした取り組みから、ボルドーのワイン造りとワインビジネスは、世界のお手本となったのです。
【ボルドーが世界一有名な理由2】ブドウ栽培に適した土地と気候
ボルドーワインが発展した大きな理由のひとつに、「土地」と「気候」があります。
ボルドー地方を流れる3つの川による豊かで水はけのよい土壌と、温暖な気候に恵まれていることが、ブドウ栽培にとって、最適な条件を満たしているのです。
3つの川について、もう少し詳しくお話ししますね。
川の名前は、ドルドーニュ川とガロンヌ川、そして、その2つの川が合流して大西洋に繋がるジロンド川。
そもそも、「ボルドー(bordeaux)」という土地名は、「水のほとり」という古語が由来で、多くのワイナリーが川の近くにあります。
ボルドー地方は、大西洋に注ぐ川のほとりに位置していることで、昔からワインを輸出しやすい環境にあり、そのことがワイン産業の発展に役立ちました。
そして、ボルドー地方では、ジロンド川とその上流のドルドーニュ川の右を「右岸」、ジロンド川とその上流のガロンヌ川の左を「左岸」と呼ぶことがよくあります。
実は、右岸と左岸では土壌が違うため、できるワインの傾向が違うのです。
左岸の土壌は、砂利質で水はけがよいため、カベルネ・ソーヴィニヨンに向いています。
そのため、ワインの味わいは、渋みがしっかりして重厚で男性的な味わいのワインになる傾向にあります。
一方で、右岸の土壌は、粘土質で早熟なメルロに向いています。
ワインは左岸に比べて渋みが少なく、エレガントで女性的な味わいのワインが多いです。
ちなみに、一般的に「右岸」「左岸」は川の上流から下流を向いて、右、左と呼びます。
ボルドーではジロンド川の河口が北側にあるので、東側が右岸、西側が左岸となります。
あくまでも傾向だが、知っているだけでツウな会話ができるぞ。
そして、あとで説明する「代表的なエリア」と一緒に覚えると、ワイン選びに役立つぞ。
ボルドー地方は、メドック地区をはじめ、20あまりの地区に分かれているので、のちほど紹介しますね!
【ボルドーが世界一有名な理由3】高い品質を保持するための工夫
ワインの原料であるブドウは、毎年気候によって少しずつ出来が違います。
それなのに、ボルドーでは毎年安定して品質のよいワインを造り、世界に送り出しています。
なぜそんなことができるかというと・・・、理由は2つ。
「ワイナリーの近代化」と「複数品種をブレンドしている」からです。
ワイナリーの近代化
ボルドーでは、規模が大きなワイナリーが多いため、豊富な資本で早くから設備の近代化が進められてきました。
それにより、ワイン自体の品質も高くなり、ブドウの出来に左右されにくく、均一な質のワインを安定して造れるようになったのです。
複数品種をブレンド
ボルドーでは、複数品種をブレンドしてワインを造っています。
このことをアッサンブラージュといいます。
品種ごとに収穫時期が違うので、その年の天候による悪い影響を、最低限に抑えることができます。
また年ごとのブドウの微妙な味わいの違いも、ブレンドによって調整することができるのです!
複数品種のブドウそれぞれでワインを造ってから、ブレンドするアッサンブラージュ。
理想のワインを求める造り手の腕の見せどころなのだ!
これまでのお話で、ボルドーが有名な理由がなんとなくわかってきたでしょうか。
続いては、ボルドーの代表的なエリアについて説明します。
ボルドーの代表的なエリア
ボルドーは20あまりの地区に分かれており、メドック、グラーヴ、サンテミリオン、ポムロール、ソーテルヌは高級ワインの産地として特長的です。
代表的なエリアだけでも知っておくと、ボルドーワインのことがよりよくわかってきますよ。
ということで、各地区についてもう少し詳しくみていきましょう!
高級ワインがごろごろ、ボルドーの代名詞『メドック・グラーヴ地区』
まずは『メドック地区』について、解説します。
メドック地区は、まさにボルドーの代名詞!
世界最高級クラスのワインがボルドーのなかで一番多くあり、高品質なワインが安定して造られています。
メドック地区の土壌は砂利質で水はけがよく、カベルネ・ソーヴィニヨンに最も適すといわれるほど。
そのため、カベルネ・ソーヴィニヨンを骨格としたワインが造られ、渋みがしっかりとした力強く厚みのある味わいのワインが多いです。
ちなみに、メドック地区に50ほどの村がありますが、そのなかでも以下の6つの村が特に有名です。
- サン・テステーフ村(Saint-Estephe)
- ポイヤック村(Pauillac)
- サン・ジュリアン村(Saint-Julien)
- リストラック村(Listrac)
- ムーリ村(Moulis)
- マルゴー村(Margaux)
続いては『グラーヴ地区』についてです。
グラーヴ地区は、ボルドー市を挟んでメドック地区の南にあり、高品質な赤ワインのほかに、白ワインも有名です。
なかでも、ぺサック村とレオニャン村を中心とした「ぺサック・レオニャン(Pessac Leognan)」という地域には、高品質な赤ワインと白ワインを造るシャトーが集中しています。
「ぺサック・レオニャン」なんて、なんだか可愛い語感ですよね(^^)
※シャトーとは、ワインの生産者のことを指します。
記事後半で、メドック地区の「ポイヤック村」とグラーヴ地区の「ペサック・レオニャン地域」のワインを紹介しています。
そこまで高額ではないので、ぜひチェックしてみてくださいね!
滑らかなでしなやかな女性的なワインの『サンテミリオン・ポムロール地区』
右岸となるサンテミリオン地区とポムロール地区は、メドック地区に比べるとかなり規模が小さいですが、メドック地区とは全然違うタイプの高品質で高級な赤ワインがあるエリアです。
サンテミリオン地区の土壌は、石灰岩を含む粘土質で、メルロという品種のブドウがメインのため、左岸で造るワインと比べると、滑らかな渋みと豊満さを併せもつ女性的なワインになる傾向があります。
その滑らかでみずみずしく優美なワインは、ブルゴーニュワインに近いともいわれています。
サンテミリオン地区の最高峰「シャトー・オーゾンヌ」のワインは、ルイ14世がその美味しさに「甘美な神酒」と評したとか・・・。
また、ポムロール地区は、ボルドーで最も小さな面積の地区で、ワインの生産量はメドック地区の10分の1くらい。
ですが「シャトー・ペトリュス」「シャトー・ル・パン」という2つのシャトーが超有名です。
どちらもメドック地区の最高峰ワインすらもしのぎ、数十万円と高価で、生産本数も圧倒的に少ないためほぼ市場には出ず、コレクターと有名レストランくらいにしかないほどです。
シャトー・ペトリュスのワインの味わいは、アメリカのワイン評論家ロバート・パーカー氏が「ワインではなく神話の象徴」と称賛したほど。
シャトー・ペトリュスのブドウ畑の土壌は、サンテミリオン地区とはまた違う鉄分の多い粘土質で、その土壌とメルロがすばらしい化学反応を起こしてすばらしいワインになるそうです。
一方、シャトー・ル・パンは、このシャトーが始まって間もない頃、同じくロバート・パーカー氏がいきなり100点満点をつけ、世界中の注目の的となりました。
そのため、シンデレラ・ワインと呼ばれたりします。
貴腐ワインの『ソーテルヌ地区』
グラーヴ地区より南のエリアは、甘口と中甘口の白ワインが多い地域。
セミヨンやソーヴィニヨン種という白ワイン用ブドウを使ってワインを造っています。
生産量は少ないですが、辛口の白ワインもあります。
なかでもソーテルヌ地区は、貴腐ワインという濃厚な超甘口ワインの代表格として有名です。
貴腐ワインとは、白ワイン用のブドウに特殊な菌がつくことで、ひからびて甘みが凝縮される「貴腐ブドウ」を使って造る、とても手間がかかり少量しかできないワインのこと。
数千円のものから数万円と高級なものもあり、なかには数十年に渡って超長期熟成できるものもありますよ。
貴腐ワインについてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
ボルドーとブルゴーニュの違い4つ
世界一有名なワインとして、ボルドーワインと肩を並べるブルゴーニュワイン。
ブルゴーニュワインはフランスのブルゴーニュ地方のワインです。
ここからは、両者の違いについて説明します。
違いを理解することで、ワインを選びやすくなるので、ぜひ以下の表に目を通してみてくださいね。
ボルドーワイン | ブルゴーニュワイン | |
---|---|---|
ボトルの形 | いかり肩ボトル | なで肩ボトル |
生産者の呼び方 | シャトー | ドメーヌ |
ブドウ品種の数 | 複数品種 | 単一品種 |
格付け | シャトーごと | 畑ごと |
それぞれ、詳しく説明していきますね。
【ボトルの形】いかり肩ボトルのボルドー、なで肩ボトルのブルゴーニュ
ボルドーワインは、グラスに注いだときに「澱(オリ)」がグラスに入らないように、カクカクした「いかり肩」のボトルになっています。
ボルドーワインのなかでも長期熟成タイプのワインは、澱が多く発生しやすいんです。
一方、ブルゴーニュ地方は海抜が高いため、昔は地下に貯蔵庫を作って食料やワインを保存していました。
狭い貯蔵庫に効率よく保管できるよう、ボトルを互い違いに収めるために「なで肩」になったのが由来です。
【生産者の呼び方】ボルドーのシャトー、ブルゴーニュのドメーヌ
先ほど、地区の説明の際にも出てきたように、ボルドー地方ではワインの生産者のことをシャトー(Chateau)といいます。
シャトーはフランス語でお城や館のこと。
歴史の解説でもお伝えしましたが、12世紀ごろから一時ボルドー周辺がイギリス領になりました。
そのときに、イギリス貴族たちは自分たちが住むお城を建て、広いブドウ園を所有し、ワインを造り、そのワインに自分たちのお城の名前をつけました。
それがシャトーの始まりです。
ワイン名に「シャトー○○」と表記されたワインは、そのシャトーでブドウ栽培からワイン醸造、瓶詰まで一貫して行われています。
一方、ブルゴーニュ地方では、ワインの生産者のことをドメーヌ(Domaine)といいます。
ちなみに、ブルゴーニュ地方では、18世紀のフランス革命で一度国が土地を没収し、その後、農家に少しずつ分け与えた経緯から、家族経営の小規模な生産者がほとんどです。
ボルドーではワイン生産者のことを「シャトー」というものの、お城のような見た目のものばかりではなく、小さな建物もたくさんあるぞ!
【ブドウ品種の数】ボルドーは複数品種、ブルゴーニュは単一品種
ボルドーではだいたい3~4品種のブドウ品種をブレンドして造ります。
一方で、ブルゴーニュではひとつのブドウ品種から造ることがほとんどです。
それでは、ボルドーで使われる主なブドウ品種を見ておきましょう。
■赤ワイン用ブドウ品種
- カベルネ・ソーヴィニヨン
砂利質の土壌に適し、主にメドックなど左岸で造られる。
ワインの味わいに骨格を与え、皮が厚いため渋みがしっかりあり、カシスなど深い味わいをもたらす。
現在世界中で栽培されているが、もともとボルドーがお手本になっている。 - メルロ
ボルドーで一番多く造られている品種。
メインの品種として使われることが多く、ワインに香ばしさやプラムなどの赤い果実のニュアンスを与える。
カベルネ・ソーヴィニヨンに比べて、渋みが少なく丸みのある味わいになることが多い。 - カベルネ・フラン
ボルドーではメイン品種として使うことは少ないが、ワインの味わいに複雑さを与える補助品種としては欠かせない。
カベルネ・ソーヴィニヨンに比べると、香りも味わいも少し軽やかな印象。
古くからある品種で、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロの親品種であることがわかっている。
■白ワイン用ブドウ品種
- ソーヴィニヨン・ブラン
ボルドーの白ワインでメインで使われる品種。
柑橘系や草原のような爽やかな酸味がある。 - セミヨン
セミヨンは甘口ワインではメインとして、辛口ワインでは補助的に使われることが多い。
貴腐ワインではメインで使われる。
ワインの味わいにハチミツのようなまろやかで豊かな味わいと香りをもたらす。 - ミュスカデル
ほとんどの場合、補助的に使われる。
ワインにムスクや白い花のような繊細な香りを与える。
ボルドーの代名詞であるメドック地区のワインは、カベルネ・ソーヴィニヨンを使っている。
だから、ボルドーといえばカベルネ・ソーヴィニヨンというイメージがある方もいるかもしれないが、ボルドー全体では実はメルロのほうが多いのだ!
ちなみに、ブルゴーニュで使う代表的な品種は、赤ワインは「ピノ・ノワール」で白ワインは「シャルドネ」。
この2つがブルゴーニュ全体の生産量の8割を占めています。
【格付け】ボルドーはシャトーごと、ブルゴーニュは畑ごと
フランスワインを飲みたい私たちにとって、最もハードルが高く感じるのは「格付け」かもしれません。
ワインの格付けって、本当に難しいですよね。
ボルドーの格付けも、例外なくとても複雑・・・。
ボルドーでは、フランスのワイン法で決められている原産地統制名称、略してA.O.C.(Appellation d'Origine Controlee)があるのですが、それとはまた別の格付けもあります。
メドック地区やサンテミリオン地区など、いくつかの地区ごとに別の格付けがあり、たとえば、メドック地区は1級~5級、サンテミリオン地区は特別1級"A"と特別1級"B"、といったように分け方が違います。
(本当にややこしいですよね!)
ラベルをみるとよくわかると思います。
以下はメドック3級のシャトー・ラグランジュというワインです。
このラベルのように、地区の格付けがついたワインは、A.O.C.とメドック地区の格付け「GRANDS CRUS CLASSES(グランクリュクラッセ)」などと記載されています。
「このワインがボルドーのどこで造られたのか?」というのを示すために、地区ごとの格付けだけでなく、地域名にひもづいたA.O.C.もあるんですね。
まあ、ラベルを見ると、色々と細かいことが書いてありますが、難しくて覚えられない!という方は、これだけを覚えてください。
「ボルドーではシャトーごとに格付けされている」ということです。
シャトーごとにメドックなど地区の格付けがついているワインは、ボルドー全体のうち、たった5%!
なので、地区の格付けがついたボルドーワインは特別なのだな、と思ってくださいね。
一方で、ブルゴーニュワインは、畑ごと、さらには畑のなかの区画ごとに格付けが決まっています。
こちらも難しいので、もっと知りたい方はブルゴーニュワインの特集記事を読んでくださいね。
ブルゴーニュワインの格付けについても、イメージ図を使って詳しく説明しています。
それでは、ボルドーの代名詞、メドック地区の格付けについて、もう少し詳しくみてみましょう。
ボルドーの代名詞、メドックの格付けは150年変わらない伝統
ボルドーの歴史でもお話ししたように、1855年のパリ万国博覧会で初めてワインの格付けが行われました。
そのときにメドック地区の格付けも初めて行われ、以来150年以上ほとんど変わっていません。
制定当時から「このシャトーは本来は2級にふさわしい」「なぜこのシャトーは3級なのか!?」といった論争はずっとあるものの、変えるところまでいかないのです。
それほど伝統あるものなのですね。
さて、メドック地区の格付けは1~5級まであり、全部で61のシャトーが格付けされています。
そのうち1級に格付けされているシャトーは5つだけ。
5大シャトーと呼び、名実ともにボルドーひいては世界トップクラスに君臨しているワインです。
そんなボルドーの最高峰シャトーは、メドック地区に4つ、グラーヴ地区に1つあります。
その5大シャトーは以下のとおり。
有名なので、名前を聞いたことがあるかもしれませんね。
- シャトー・ラフィット・ロートシルト
5大シャトーのなかでも最も繊細でエレガントといわれる。
18世紀ごろ、それまでフランス宮廷の王様はブルゴーニュワインばかり飲んでいた。
このシャトーのたぐいまれな美味しさを知ったある夫人がベルサイユ宮殿にこのワインを持ち込んで以来、王様、宮廷を始め、パリの町中にたちまちボルドーワインの名声が広まった。
そんなボルドーワインの立役者のひとりでもある。 - シャトー・マルゴー
女性的な豊満さがあるといわれる。
ヘミングウェイの小説や映画などいろいろなシーンに花を添えることもある。
日本では渡辺 淳一の「失楽園」の凄惨な最後にこのシャトー・マルゴーが一役買い、いっきに知名度が上がった。 - シャトー・ラトゥール
力強く男性的といわれる。
いち早くステンレスタンクを取り入れるなど近代化で高い品質のワインを安定して造り出している。 - シャトー・ムートン・ロートシルト
1855年の制定時ではなく、あとから2級から1級に格上げされた唯一のシャトー。
毎年そのときの超有名画家(ダリ、シャガール、アンディーウォーホルなど)がボトルのラベルをデザインしていることでも人気を博している。 - シャトー・オー・ブリオン
力強く、長期熟成を要するワイン。
唯一メドック地区ではなくグラーヴ地区に位置する。
シャトー・オー・ブリオン・ブランという名前の辛口白ワインも造っている。
メドックの格付けワインのラベルには、1級はPREMIERS GRANDS CRUS CLASSES(プレミエ グラン クリュ クラッセ)、それ以外は等級にかかわらずGRANDS CRUS CLASSES(グラン クリュ クラッセ)と記載されます。
サン・テミリオン地区、グラーヴ地区の格付けでも、格付けされたシャトーワインのラベルにはGRANDS CRUS CLASSESと記載があります。
近年全体的に価格が上がっていることもあり、5大シャトーのフラッグシップワイン(そのシャトーの最高級でメインとなるワイン)は1本10万円以上することも珍しくありません・・・。
メドック1級のワインを飲んでみたくても、1本10万円なんてなかなか買えないですよね・・・。
でも、実はメドック1級のシャトーワインでも、手頃な価格のワインがあるんです。
ということで、次の選び方の章で解説しましょう。
ボルドーワインの2つの選び方
大量の高品質ワインがあるボルドーワイン。
星の数ほどあるワインをどうやって選ぶかというと、「格付け」と「土地」です。
■ボルドーワインの選び方2つ
- 格付けで選ぶ
- 土地で選ぶ
順番に説明しますね!
【ボルドーワインの選び方】格付けで選ぶ
ボルドーにはA.O.C.とは別に地区の格付けがあります。
地区の格付けがついたワインは、ボルドー全体の5%程度しかないので、選ぶためのひとつの目安になります。
ただし、特にメドック地区の格付けは150年以上変わっていないので、格付けがついていたら必ずしも「確実に美味しい!」というわけではありません。
逆に、格付けがなくても高品質なものもなかにはありますので、そのことは頭に入れておくといいですよ。
また、格付けのついたシャトーでは、メインであるフラッグシップワインとは別に「セカンドラベル」「サードラベル」という、ちょっとレベルを落としたワインがあります。
(フラッグシップとは、最上級の製品を意味します)
セカンドラベル、サードラベルとは、簡単にいうとシャトーの基準に満たないワイン。
たとえば、熟成期間をシャトーの基準より短くしたり、シャトーの基準に満たないブドウ(たとえば樹齢が若いなど)を使って造ります。
セカンドラベル、サードラベルでも、確かな技術のあるシャトーのワインなら、十分その力量を味わえるでしょう。
なので、格付けシャトーのセカンドラベル、サードラベルもぜひチェックしてみてください!
メドックの格付けシャトーでも、セカンドラベル、サードラベルなら1万円以下で手に入ることもあるぞ!
次のオススメワインの章で、メドック1級シャトーのサードラベルを紹介していますので、チェックしてくださいね。
【ボルドーワインの選び方】土地で選ぶ
ボルドーが世界一有名な理由のお話で、ボルドーの土地のことを説明しました。
そこでお話しした「右岸」と「左岸」について、覚えていますか?
そうです!
しっかり重厚な男性的なワインが飲みたいときは左岸、ボルドーのなかでも渋みがまろやかで豊満、上品なワインが飲みたいときは右岸!
A.O.C.ボルドー(「Appellation Bordeaux Controlee」)は、基本的にはボルドーのどこで造られたのかわかりづらく、ボルドー地方で造られたワイン、と理解してください。
上でお話ししたメドック地区などの地区名や、地域名にひもづいたもっと狭い範囲のA.O.C.をチェックすることで、そのワインがボルドーのどこで造られたのか、つまり右岸か左岸がわかります。
右岸と左岸の違いはあくまで傾向でしかないので、「思ったのと違う!」ということはあるかもしれませんが、エリア名を意識して飲むのと飲まないのでは全然違いますよ。
それではいよいよオススメのボルドーワインの紹介にまいりましょう。
ボルドーワインだけでなく、もっといろんなワインを知りたい!という方は、こちらの記事もご覧ください。
>【保存版】美味しいワイン編集部の試飲レビューあり!オススメのワイン200本以上まとめました!
オススメのボルドーワイン8選
いよいよオススメのボルドーワインの紹介です。
今回は、これまで紹介してきた、ボルドーのいろいろな地区から選びました。
1. フルーティーなコクがありどこまでも上品「シャトー ラグランジュ 2014」
シャトー ラグランジュ 2014
(2023年11月20日 12:10時点のAmazonの価格)
生産地 | フランス | ブドウ品種 | カベルネ・ソーヴィニヨン メルロ プティ・ヴェルド |
---|---|---|---|
種類 | 赤ワイン | 香り | カシス/樽/ブラックチェリー |
味わい | フルボディ | 合う料理 | ステーキ/焼き鳥 |
記事でも紹介した、メドック地区サン・ジュリアン村、格付け3級のシャトー。
カシスやレーズンのような香り、フルーティーさと、しっかりとした渋みがあり、ほのかに樽感があるボルドーらしい一本。
コクやふくよかさがあり飲みごたえがあります。
ステーキや脂身のたっぷりある肉料理と合わせると、ワインのフルーティーさが増すようなマリアージュが楽しめます。
このシャトーは1983年にサントリーが買収し、現地の人と日本人が協力して、ブドウの樹を植え替える、ステンレスタンクなど大規模な設備投資を行うなど抜本的な改革を行いました。
多くの苦労と工夫の末、近年飛躍的に品質が向上したというストーリーがあります。
2. 5大シャトー「シャトー ラトゥール」の卓越したサードラベル「ポイヤック ド ラトゥール」
ポイヤック ド ラトゥール
(2023年11月20日 12:10時点のAmazonの価格)
生産地 | フランス | ブドウ品種 | カベルネ・ソーヴィニヨン メルロ プティ・ヴェルド カベルネ・フラン |
---|---|---|---|
種類 | 赤ワイン | 香り | カシス/バラ/木の皮 |
味わい | フルボディ | 合う料理 | ステーキ/トマト料理 |
メドック第1級に格付けされたシャトー ラトゥールのサードラベル。
1万円台とは思えない卓越した深みがあり、生産量が少ないため希少価値もあるワイン。
グラスに注ぐとねっとりとしたガーネット色で、レーズンや黒糖、カシスのような甘い香りがあります。
味わいは赤い果実やワラ、枯れ草、赤い花のような印象があり、007のジェームズ・ボンドのような粋な紳士を思わせる上品さ。
味わいは決して濃くはないのに、ゆったりと波紋のように残る余韻が見事です。
あっさりしたローストビーフのような肉料理や、野菜のソテーやマッシュポテトなどにも合います。
3. チェリーやバラの香りにプルーンなど果実感が凝縮「シャトー クロ・ルネ」
シャトー クロ・ルネ
(2023年11月20日 12:10時点の楽天市場の価格)
生産地 | フランス | ブドウ品種 | メルロ カベルネ・フラン マルベック |
---|---|---|---|
種類 | 赤ワイン | 香り | ブラックチェリー/バラ/プラム |
味わい | フルボディ | 合う料理 | 焼き鳥/ハンバーグ |
黒と赤の印象的なボトルデザインの、右岸ポムロール地区の赤ワイン。
メルロをメインに、カベルネ・フランなどを使っています。
チェリーやバラのような上品な香りに、しっかりと骨格のあるプルーンや果実感が凝縮した味わい。
酸味と渋みのバランスがよく、飲みごたえがあります。
ビーフシチューや濃い味付けの肉料理に特によく合います。
4. バニラのような甘い香りにカシスや複雑な味わいが何層も「シャトー ド フォンベル」
シャトー ド フォンベル
(2023年11月20日 12:10時点のAmazonの価格)
生産地 | フランス | ブドウ品種 | メルロ カベルネ・ソーヴィニヨン プティ・ヴェルド カルメネール |
---|---|---|---|
種類 | 赤ワイン | 香り | バニラ/カシス/ラズベリー |
味わい | ミディアムボディ | 合う料理 | ステーキ/チキン |
右岸サンテミリオン地区の赤ワイン。
メルロをメインにカベルネ・ソーヴィニヨンなど複数品種を使っています。
キャラメルやバニラのような甘い香りが印象的。
味わいはカシスやキャラメル、果実の凝縮感が複雑に絡み合い、渋みもしっかりあります。
全体的に強くまろやかなボルドーらしさが味わえます。
脂っけのある肉料理と一緒にいただくと、驚くようなマリアージュが楽しめます。
このシャトーはサンテミリオン地区最高峰シャトーのひとつ、「シャトー オーゾンヌ」が買収したことで、オーゾンヌの兄弟ワインともいわれます。
5. 凝縮感と樽感がボルドーらしい「シャトー・カルボニュー・ブラン」
シャトー・カルボニュー・ブラン
(2023年11月20日 12:10時点のAmazonの価格)
生産地 | フランス | ブドウ品種 | ソーヴィニヨン・ブラン |
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種類 | 白ワイン | 香り | レモン/ミント/樽 |
味わい | 辛口 | 合う料理 | カルパッチョ/チキン |
左岸グラーヴ地区の、A.O.C.ぺサック・レオニャンの辛口白ワイン。
ワラや枯れ草、レモンのような凝縮感のある香りが魅惑的。
味わいはハーブ、樽、レモンのようなニュアンスに、かすかにバナナのようなコクがあります。
全体的に上品で、チーズなどシンプルなおつまみでちょびちょび楽しむのがオススメ。
エビのアヒージョなどシンプルな魚介料理や、あっさりめの豚や鶏料理に合います。
6. 親しみを感じる「ドメーヌ バロン ド ロートシルト ボルドー レゼルブ スペシアル」
ドメーヌ バロン ド ロートシルト ボルドー レゼルブ スペシアル
(2023年11月20日 12:10時点のAmazonの価格)
生産地 | フランス | ブドウ品種 | メルロ カベルネ・ソーヴィニヨン |
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種類 | 赤ワイン | 香り | バラ/ブラックチェリー/ラズベリー |
味わい | ミディアムボディ | 合う料理 | チーズ/ハンバーグ |
メルロとカベルネ・ソーヴィニヨンがブレンドされたミディアムボディの赤ワイン。
ふくよかな香りとフルーティーな酸味が広がります。
渋みはどちらかというと控えめで、カシスやプルーン、ほのかに赤い花や果実のニュアンスもあります。
あっさりめの肉料理、味付けは濃いめの料理によく合います。
またハード系のチーズやカカオ分の高いチョコレートなどのおつまみにもよく合いますよ。
ワイン名にもあるように、このワインはボルドー5大シャトーのひとつ、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」のワイナリーグループに所属しています。
7. すっきりとした辛口の「シャトー ショービネ ボルドー・ブラン」
8. 名実ともに貴腐ワインの最高峰『シャトー・ディケム』
シャトー・ディケム
(2023年11月20日 12:10時点のAmazonの価格)
生産地 | フランス | ブドウ品種 | セミヨン ソーヴィニョン・ブラン |
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種類 | 白ワイン | 香り | 樽/ハチミツ/白い花 |
味わい | 甘口 | 合う料理 | チョコレート/フルーツ |
ソーテルヌ地区の超甘口白ワイン。
1本のブドウの樹から、たったグラス1杯のワインしか造れないと言われる、希少な貴腐ワインです。
超人気ワイン漫画、神の雫にも登場します。
穏やかな樽香に、深く濃厚な香りと花や、アプリコット、メープルシロップ、ハチミツのような複雑な味わい。
ほんのひとくちでも、濃厚な味わいが口いっぱいに広がり、長い余韻があります。
もっとオススメのワインを知りたい方へ
美味しいワインでこれまでレビューしたオススメのワインを、ひとつのページにまとめました。
さいごに
いかがでしたか。
ボルドーワインのラベルの読み方だけでもわかれば、選び方もわかってきますね。
最後に、よく映画や小説に登場するボルドーワインの、ちょっとした雑学をご紹介しましょう。
(記事でも失楽園に登場するシャトー・マルゴーの件がありましたね)
007シリーズ、1971年に公開されたショーン・コネリー主演の「ダイヤモンドは永遠に」という映画にて。
映画の最後、クルーズのダイナーで主人公のジェームズ・ボンドを殺害しようとソムリエに扮した敵が、料理と、5大シャトーのひとつ、「シャトー・ムートン・ロートシルト」の赤ワインを運んできます。
ボンドは、その赤ワインを開けたコルクの香りをかいで、「このワインはすばらしいけど、この料理にはクラレットのほうが合う」といい、ニセ者のソムリエは「残念ですがクラレットはありません。」と答えました。
ソムリエ(に扮した敵の)この答えで、ボンドは敵と見破ったのです。
なぜ敵だとわかったのでしょう?
「クラレット」とは、昔のイギリスでの、ボルドーワインの愛称なんです。
そしてシャトー・ムートン・ロートシルトはボルドーワイン。
ソムリエなのに、「クラレットはありません」なんて、トンチンカンな答えですよね。
イギリス人という設定のボンドらしい、粋な演出でした。
それでは今夜もボルドーワインを片手に。
See you!
ところで、この美味しいワインというサイトでは、これまでに色々なワインを紹介してきた。
200以上のワインを厳選してきたね。
それらのワインがひとつの記事にまとまっているといいんだけど・・・。
そう言うかと思って、私がまとめてみたわ。
以下の記事を見れば、美味しいワイン編集部がオススメするワインが一覧でチェックできるのよ。
それが、こちら!
この記事を監修してくれたワイン博士
(一社)日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
所属するワインショップ:「アプリクス(Aplicus)」
尼崎の園田駅近くにある、ワインショップ「アプリクス(Aplicus)」オーナーソムリエ。
2013年にワインアドバイザーを取得し、6年間大阪梅田の百貨店のワイン売り場で勤務する。
お客様の好みやシーンだけでなく、その日お客様が買ったチーズや食材に合わせてワインを紹介するなど、きめ細やかな対応が強み。
ワインショップでは、イタリアを中心に、日本でまだ知られていない国や地域のリーズナブルで美味しいワインを幅広く取り扱う。